南知多町議会議員の報酬引き上げに反対しました。

 議案第18号 南知多町の議会の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例について反対討論をします。

議員報酬引き上げに反対の立ち場を表明し、問題提起し討論します。

第1の問題は、広く町民の声を聞いていないのではないか。住民自治の立ち場から住民と考え共有する議員報酬とする考え方が弱いと考えます。

提案説明では、報酬審議会で3%の引き上げを決めたから引き上げるとのことですが、町長が委嘱した7人でそのように単純に決めていいのかと言う問題です。あくまでも答申です。これまで、7人の審議会委員の方々は、どれだけ議会を傍聴し、観察されているでしょうか。半田市は、毎年審議会を開催し議員・特別職の報酬をチェックしています。独自の判断で、保留・引き上げ、引き下げを判断しています。南知多町のように突然開く審議会は、どうしても町長からの一方的な親方日の丸的な意見に傾きがちになるのではないでしょうか。この問題は、単なるお金の問題でなく、議会改革として、地域民主主議の徹底に関わる問題です。住民自治をどのように作り出すかということから議論を出発することが必要です。そのためには、町民の意見を広く聞く機会の設定が必要と考えます。審議会はあくまで一つの意見を表明したにすぎません。無投票の問題、女性議員の参加促進問題、議会としての行政の監視機能強化と政策提言の促進などが問われています。とりわけ議会・議員としてのポリシーも問われています。審議会はさまざまな視点から議会調査をすべきです。わずか12月、1月の2回の審議会で結論を出すのは拙速で住民の理解は得られません。議員報酬・特別職給与問題を切り口として、先の無投票問題など、今の町政の課題、議会改革の課題を公開討論して、町民の中で地方自治の在り方の意識を広く共有する中で問題提起し議論することで何のための議会か議員かが問われ、報酬の必要性も理解されるのではないでしょうか。。

わずか2回の報酬審議会の中でも、まともな引き上げ額の審議は、1月22日の議論があるだけです。その中では、3%の引き上げでなく、1.5%でもいいとの考えも表明されています。他市町のとの比較だけで審議があいまいです。東海市の引き上げ率は0.36から0.43%です。町民の中には、議員は、「ヨーロッパのようにボランティアでやるべき。」「いやそれでは議員のなり手はいないよ。」「他の市町に比べれば低いから引き上げるべき。」「他市町と比べなくてもいい。実態からみて何故引き上げる」等の声を真摯に聞き、今の南知多町の議員活動の実態を示し、引き上げが必要かどうか議会活動の在り方を町民全体に問題提起して考える機会を設定し、住民自治促進から町民からのより広く総合的な理解が必要です。それらが丁寧にやられていません。

 

第2の問題は、議会としてのポリシーはどうあるべきかが問われる問題です。

ただ審議会結果をそのまま受け入れるのではなく、私たち町議会議員は、主体的に考えそのような引き上げるだけの活動をしているのか、今の私たち議員は報酬引き上げを受け入れる資格があるのかが問われています。私たちにその活動・資格があるでしょうか。

「金だけもらって、何にもやってないじゃない」の声も聞かれます。実際本年度6月議会の一般質問は武豊町では16人中議長を除く15人全員、美浜町は、12人中6人、東浦町でも16人中13人、阿久比町も14人中7人で少なくても半数以上が質問に立っているのに、南知多町は12人中わずか2人というていたらくでした。さすがに、ある町民の方から元石垣議長に対して、つまり南知多町議会に対して質問が寄せられました。元石垣議長も丁寧に回答しています。12月議会は5人の一般質問なりましたが、他にも様々な活動実績対する課題が私たち議員には町民のみなさんからつきつけられています。

まさに議員報酬の問題は、住民が町議会をどうするかという根本問題です。議会についての住民の理解を促進し、直接議会活動を担う議員の在り方の姿勢が問われていると考えます。もっと町民との対話の機会を設定し報酬問題を提起することが必要だと考えます。 

 

第3の問題は、町枠予算方式、予算抑制方針のもと、議員の報酬問題についてはどのように考えるべきかが明確にされていません。財政厳しい折、その妥当性が明確にされていない共有されていないという問題です。

平成31年に、町村議会議員の報酬等の在り方検討委員会が「町村議会議員の議員報酬などの在り方」の最終報告を出しています。議員報酬の考え方として極めて参考になり、報酬審議会としても研究すべき内容です。

そこには、報酬の算定方式として、首長の給料を元にした上で議員の実働日数と比較する原価方式そして、類似団体実績を比較する比較方式、議員の活動成果を重視する収益方式、があるとしています。成果方式や、比較方式の類似団体方式では参考にはなるが報酬を根拠づけることは弱い、なじまないとして、原価方式を主に紹介しています。

 原価方式は、A領域として本会議・委員会活動の議員活動の日数・時間 B領域として議会活動・議員活動に付随した質問や議案に対する調査活動等の日数・時間C領域として、集団視察・政務調査・議案の精読・質問の作成・個人視察 X領域として議員として係わる住民活動として、住民から受ける各種相談、各種団体への出席、自治体主催行事への参加、を時間数でカウントし、首長・副首長・教育長の平均活動日数と比較し、エビデンスとして、議事録や報告書アンケート等を活用し、その割合に基づき首長の給与から議員の報酬を割り出す方法です。

 この報告書では、若い議員への配慮の報酬改善例も報告されています。長崎県小値賀(おじか)町では、年齢によって議員報酬額を区分する条例を制定しています。月額18万円の議員報酬を50歳以下に限り30万円に引き上げるものです。まちづくりには働き盛りの人達の視点が重要との視点からです。議員の高齢化や無投票当選の増加を考慮した意欲的取り組みとして紹介しています。

 

 議員の報酬に係わる問題は、住民自治・2元代表制を効果的に発揮させるために重要な問題です。引き上げるとしても、徹底した報酬審議会での議論、客観的な根拠と町民との理解の共有がまず求められるはずです。それが足りません。議員にとってみればありがたい提案ですが住民理解と同時に、とても議員報酬を引き上げる根拠が不明確です。賛成できません。